パーソナルトレーナーになるには

パーソナルトレーナーという職業はどのようなものでしょうか。数年前は、ジムやスポーツクラブでダイエットを目指す人々に対して、一対一での運動指導が主な役割だとされていました。しかし、最近ではその印象が少しずつ変わってきています。これは、クライアント側のニーズの変化と密接に関連しています。

具体的には、ボディメイク、ダイエット、健康増進、姿勢改善、リハビリテーション、身体強化、スポーツ能力向上など、トレーナーの活動範囲は非常に広く、クライアントは年齢や性別、健康状態などさまざまな要因で異なります。

これら多様なニーズに対応するのが、パーソナルトレーナーの存在意義です。パーソナルトレーナーは「身体や健康に関する悩み」に対して最大限のサポートを提供し、クライアントの生活を向上させる方法を提案し支援しています。

また、クライアントの人生の質を向上させるために重要な役割を果たしており、「身体や健康に関する悩み」に対する解決策を提供することで、クライアントの未来をより良いものにする手助けをしています。

現在、パーソナルトレーナーに関連するさまざまな資格が存在しますが、その一方で資格なしでも活動を始める人もいます。ここで重要なのは、「どの資格が安心してトレーナーとして活動できるか」ということです。そう考えると、安心してトレーナーとしての道を歩むために、以下のような不安材料が考えられます。

例えば以下の内容は、不安や懸念としてよく挙げられます。

⑴ どのようにトレーニングを提供すべきかが分からない

⑵ トレーニングの強度調整が難しい

⑶ クライアントに怪我をさせないか不安

⑷ 個人に合わせて効果を出せるか不安

⑸ 不安定な収入源で生計が立てられるか不安

こうした懸念を抱えつつも、多くの人々が近年、トレーナーの道に進んでいます。

ここで重要なのは、トレーナーとして必要な「知識」と「技術」が確実に身についていることです。以下の項目でこの「知識」と「技術」について詳しく説明します。それに先立ち、安心してトレーナーとして活動するための資格について幾つか紹介しましょう。

❶ 医療系国家資格

医師、看護師、理学療法士、作業療法士などの医療系資格、または人体の負傷に対する整復行為が行える柔道整復師などの資格は、学生時代から健康や人体に関する学びを重点的に行うため、トレーナーとして必要な基礎知識が備わっています。

❷ 有名な民間トレーナー団体の資格

NSCA、NESTA、JATIなどのトレーナー団体の資格では、基本的なトレーニング理論や解剖学などを学ぶ機会が提供されます。これら団体が発行する専門書などもわかりやすくまとめられており、医療系国家資格の取得が難しい場合でも、これらの団体のライセンスを獲得することでトレーナー業務を行う上での不安を軽減できる可能性があります。

❸ コーチング系の民間資格

トレーナーにとって重要な技術の一つはコミュニケーション能力です。パーソナルトレーナーはサービス業であり、高品質のトレーニングを提供しても、コミュニケーション能力が低い場合、クライアントのニーズに適切に対応することは難しいです。この点で、近年注目されているコーチング技術はトレーナーとしての相性が良いと言えます。

❹ 一方で、これだけでパーソナルトレーナーを自称するのが危険なモノ

　→自身のボディメイクコンテストの記録

自身の理論に基づってボディメイクを成功させた経験があっても、個別の状態に合わせて正しい理論を提供する能力が必要です。経験則に基づいた方法は、ケガのリスクを増やす可能性があるため注意が必要です。

　→プレコリオなどのスタジオプログラムライセンス

プレコリオなどのスタジオプログラムライセンスは、スタジオレッスンの研修・資格であり、基本的な人体の知識は必ずしも提供されません。トレーナー業務に必要な基礎知識とは異なるため、注意が必要です。

パーソナルトレーニングを提供する上で、以下のスキルが重要です。これらのスキルは、トレーナーがクライアントに適切なサポートを提供し、効果的なトレーニングを行うために不可欠な要素と言えます。

❶健康に関する基礎的な知識

トレーニングの主要な目標は健康を促進することです。したがって、健康に関する基本的な知識は重要です。栄養に関する知識、運動による健康維持、精神的な健康、適切な睡眠など、多岐にわたる健康要素について理解することが必要です。トレーナーはこれらの要素をバランスよく考慮し、クライアントに適切なアドバイスを提供する役割があります。

❷専門職としての人体に関する知識

トレーニングの提供や姿勢の改善、ダイエットなどにおいても解剖学という人体についての基本的な構造の知識はまず必要です。生理学についても学ぶことで、体の機能や運動の効果について的確な情報を提供できるようになります。運動学の理解は、体に加わる力（外力）と人体が発する力（内力）をどのように活用するかを知るために重要です。

❸信頼されるコミュニケーション能力

トレーニングを的確に提供するためには対話の力は重要です。これはただのコミュニケーション能力だけで　はなく、クライアントの状態を把握したり抱える課題への対処をすることにも活用されます。例えば評価の基本的な方法としてHOPS、クライアントの課題を解決する為にSOAPいう手法があります。このどちらにもクライアントの状態を確認するために話を聞いたり質問をする事、つまりコミュニケーションの基本的な力が必要となります。またセッションを楽しく、且つ効果を実感する上でもコミュニケーションは重要でありクライアントの自己肯定感を伸ばすためにも必須なスキルだと言えるでしょう。

パーソナルトレーナーとして必要な知識と技術は上記の通りですが、これらは学業の上での習得以上に現場レベルでの強化が重要です。如何に学業ができ知識が豊富であっても、それを的確に扱ってサービスを提供しなければ正しく求められた効果は出ません。学びの中で培った知識と技術を現場で活用していくことでしかこれを強化するのは難しいでしょう。

またパーソナルトレーニングはその立ち位置が近年ウェルネス（＝より良い健康）というポジションに変化をしてきています。そしてこの健康に関する業界においては日々新しい技術や知見が増え続けていく為、パーソナルトレーナーとしても健康に関する最先端の知識や技術の習得は必須です。

その上でより良いパーソナルトレーナーになるためには以下のような学習も重要な手段となります。

❶ピラティスやヨガなどの特殊なエクササイズのライセンス

ある種伝統的な運動でありつつ、種目によってはヨガマット一枚程度の場所さえあれば様々なエクササイズが実施できるのが特徴です。養成講座などの学習機会も多く、学習方法も確立されているため取得後の実施も的確に行えることが魅力です。

❷マシントレーニング以外のトレーニング技術のライセンス

現在パーソナルトレーニングの需要は多岐に渡っています。その上でトレーニングの実施をする現場というのも変化してきています。場合によってはご自宅への訪問であったり、とある会社の会議室であったりと、トレーナーがトレーニングを提供する環境が整っていない場合も増えてきました。

これはパーソナルトレーナーの社会的な役割を反映していることがあり、今後も需要が伸びる反面これに対応できる技術、つまりトレーニング環境に左右されない技術も必要であるということです。

❸海外でエビデンスの確立された最先端のメソッドのライセンス

近年では日々様々なトレーニングに関する研究がなされています。これらの研究データなどからそれを効率的・効果的にトレーニングとしてパッケージングされていくことがよくあります。これを〇〇メソッドとして発表され広く知られていくことが多々あります。研究などに基づく正しいメソッドであれば効果を得ることは可能であるためこれらのメソッドを中心に学びを進めることも一つの方法と言えるでしう。

トレーニングスクールやセミナーなどへの参加はトレーナーとしての力量を引き上げるのにはとても良い方法です。トレーニングスクールの場合は一貫したトレーナーとしての知識をカリキュラム化された内容で学ぶことができるため、スクールの受講完了後には直ぐにその知識を使ってトレーナーとしての活躍ができます。ただしトレーナースクールには以下のような問題点をはらんでいる場合も多々あります。　

❶ 質の低い研修

一部のトレーナースクールでは、講師の力量不足により十分な知識や実践的なスキルを提供できない場合があります。

❷ 高額な学費

トレーナースクールでは体外高額な費用が必要となります。結果的に得られた技術を使う機会に恵まれなければ経済的な負担が大きくなる場合があります。

❸ 実践的な経験の不足

多くのトレーナースクールは理論的な知識や技術を重視する傾向があります。その結果現場で即活躍できるような実践的な経験を得られず、活動に支障を来す場合もあるようです。

ボランティアやインターンシップを通じてパーソナルトレーナーとして経験を積むことには以下のようなメリットがあります。

❶実践的な経験

ボランティアやインターンシップでは、実際の顧客やトレーニング環境で働く機会が得られます。理論だけでは得られない実践的な経験を積むことができます。

❷リアルな顧客との関わり

実際の顧客と関わることで、個別のニーズや要望に対応するスキルを向上させることができます。コミュニケーション能力や問題解決力を養うことができます。

❸プロフェッショナルネットワークの構築

ボランティアやインターンシップを通じて、業界内のプロフェッショナルとのつながりを築くことができます。将来の仕事や機会につながるかもしれません。

❹ 知識・技術の確立

実際のプロジェクトに参加したり、顧客に対してトレーニングを提供したりする経験は、自身の知識・技術向上に役立ちます。

❺ 自己成長と自己理解

ボランティア活動やインターンシップは、自己成長と自己理解にも寄与します。自分の強みや成長点を見つけることができます。

❻貢献の喜び

ボランティア活動は、他の人々に対して貢献する機会を提供してくれます。自分のスキルや知識を他者のために活かすことで、喜びを感じることができます。これらのメリットは、ボランティアやインターンシップがパーソナルトレーナーとしての成長とキャリアに貴重な経験をもたらす理由になります。積極的に機会を探し、経験を広げることで、より優れたトレーナーとなることができます。

パーソナルトレーナーがより高い質へと至る為には提供するトレーニングの内容や指導の方法が重要であることは言うまでもないでしょう。その中でも以下のような点をより深掘りできると質の高いトレーナーへと至るには重要であると言えます。

❶目標設定と評価、そこから予想できる経過の推察

トレーニングを提供する際、クライアントを置き去りにした理論のない闇雲な実施では効果を得ることはできません。まずはクライアントの希望を確認しつつ身体の状態を評価していくことが必要です。そしてそれを元にトレーニングの実施を計画していきますが、その際予想される経過をクライアントと共有することで進捗に対する不安感を払拭することにもつながります。

❷評価を元にしたクライアントベースの計画

各個人の体力レベルや得意なことはそれぞれ違っています。それを無視してトレーニングを提供うることは効果を引き出せないという点以上に怪我をさせるというリスクが強くなります。

クライアントの特徴を的確に捉えるには評価が行える観察眼と評価の基準を把握する知識の2つの側面が一定水準以上に足りていないと難しいのも事実です。

クライアントとのコミュニケーションは信頼関係の構築に必要不可欠です。信頼関係があるとクライアントはトレーナーの専門的な知識や提供されるサービスを安心して受ける事ができるようになりすしコミュニケーションを通じてよりクライアントの深層心理にある悩みなどを聴取できることで、本当の課題に対して根本的な解決の糧となったり、問題が生じても協力的に取り組むことができ、長期的なパートナーシップを築く土台となります。

パーソナルトレーナーにとって、自己啓発や業界知識の向上は重要なメリットをもたらします。例えば以下のような利点が得られます。

❶専門性の向上と高度なサービス提供。

❷顧客の成果を最大化する効果的な指導。

❸競争力の強化とキャリアの発展。

❹顧客からの信頼を獲得。

自己啓発と学習は、トレーナーとしてのスキル向上と信頼性を高め、成功するための重要な要素です。常に学び続ける姿勢を持ち、業界の最新情報にアクセスすることが大切です。

初めはフィットネス施設での経験が必要です。できればパーソナルジムではなく大型フィットネスジムですと運動全般で多くのことを学ぶことができます。

様々なことを学ぶことで視野が広くなり自分に合った道を立てやすいと言えます。そこで働きながら資格の取得や現場での顧客に対する指導、管理職の経験、教育の経験などがつめると良いでしょう。ある程度経験し、自分に向いている働き方がわかればフリーランストレーナーとして活動することができるようになります。

1人で仕事をすると多くのメリットがあります。

• 自分のやりたいことをやれる。
• 収益が自分に直結している。
• 上司・部下といったしがらみが少ない
• 全て自分の責任なので頑張った分達成感がある 

フリーランスや独立開業は全て自分ごとになるので会社特有のしがらみなどは一切ありません。頑張ればその分結果が返ってきますので仕事のやりがいとしては会社員では得られない充実感があります。可能性としては無限大です。

しかし、その分責任も重くのしかかってきます。メリットデメリットを十分理解して独立するとお勧めいたします。

独立して仕事をする場合、フリーランスか店舗開業という選択がありますが、私の中ではまずはフリーランスとして活動することがいいと思います。なぜなら、初めから大きなお金を投じてしまうと、自分のやりたいことが新しくできた場合すぐにそちらに移行することが難しくなるからです。

フリーランスで活動して本当にやりたいことが明確になった時にお店を作ることが望ましいと言えます。多くのトレーナーがフリーランスからスタートしてある程度慣れてから店舗開業して成功しています。

もちろんいきなり店舗を作って成功している人もいますが、リスクを少なくして始めることが基本です。

クライアントのニーズにはカウンセリングでクライアントから聞くことができる「健在的ニーズ」と、そのニーズを作り出すきっかけになったクライアントの根本的な考えや発想に至る思考に基づく「潜在的ニーズ」の2つが存在します。

健在的ニーズはクライアントが自発的に申請をすることが普通なため、これを把握する事自体は特に難しくはありません。そして、大概のクライアントは自分が抱える健在的ニーズが自分の求めるニーズの全てであると考えている場合が多く見受けられます。このため表面的には健在的ニーズのみを達成させることができれば問題はないようにも思えますが、それは一流のトレーナーの行動とは言えません。

トレーナーは初回のカウンセリング以外でもお客様とのコミュニケーションを通して強い信頼関係を築く事ができます。

その結果クライアントが抱えている潜在的ニーズに気がつけるタイミングが多々あり、コンプレックスの解消などクライアントの人生観そのものを大きく変える事ができる可能性も秘めています。

これらのニーズを元にしたセッションはクライアントの期待を上回ることの連続となり、洗練されたプログラミングにもつながるといえるでしょう。

パーソナルトレーナーの仕事の仕方として、

• 会社に所属をする「雇われ」
• 自分で施設を運営しつつセッションを行う「自営業」
• 個人として施設との契約のもとセッションを行う「独立事業主」

　に、大別されます。

雇われている場合に関して言えば集客を自ら率先して行う必要性は少なくなりますが、自営業や独立事業主ではそうはいきません。この2つはクライアントを自ら見つけ出せなければ収入を得ることができず、仕事として成り立ちません。

この為自分の有益性を世間に広くアピールするマーケティング戦略ができていないといけません。自己ブランディングなども非常に重要であり、これらを駆使して自らを世間に売り込みにかかることでクライアントが自分を発見することに繋がるのです。

トレーナーという仕事はある意味では販売しているサービスに大きな変化があるわけではありません。クライアントの健康に対して最大限の効果を目指すための土台さえあれば実際には新しいトレンドだけに注目することは問題ではああります。それを把握した上で更にクライアントの満足度を高めるという目的のためであればこれらの用法をとりに行くことは必要となるかもしれません。

その上で情報を得ていく先というのはいくつかあるものの、まずは最先端の海外発表の論文などの情報を撮りにいく癖をつける事が重要です。

海外のフィットネス分野に関しては日本国内よりも研究などが進んでいると言われており、海外での流行が1〜2年越しに日本へと渡ってくることを踏まえると先見の眼を養うものとしても活用ができるでしょう。

パーソナルトレーナーは国家資格などはありません。

ですので、しっかりと経験値を高めることができたならすぐにでも開業できます。しかし、そこで勉強するのをやめてしまうと顧客から見放されてしまうのでトレーナーでいる以上勉強は一生行う必要があります。

トレーナーとして努力しなくて良くなることはありません。一生努力をする覚悟を持ってトレーナーになりましょう。

パーソナルトレーナーとしての収入は、指導、店舗、教育、知識の発信等いろいろなやり方があります。ただ指導だけで収入を得るだけでもいいですが、現代の技術を取り入れていろんな可能性を知っておくと良いでしょう。

パーソナルトレーナーは普通の会社員の働き方と比べ時間を自由に使うことができることが多いです。せっかくパーソナルトレーナーとして生活できるようになったなら他のことでも時間を使うと良いでしょう。例えば家族の時間を大事にすることや、自分の趣味のスポーツをする、または旅行などに行くことも可能です。

トレーニングプログラムの作成についてはその前に必ず評価が必要となります。そしてそれらを用いて負荷の調整や運動内容を選択するのが重要です。これを達成する為の要素としては評価ではHOPSを用いて、プログラムの検討にはSOAPを用いて実施をする事が望ましいでしょう。

またプログラムデザインにはFITTRRの原則を用いる。FITTRRとは運動の重要な 6 つの変数の頭文字で頻度・強度・時間・種類・休憩・上達速度を調整する事が重要であるという考え方です。

正しい評価のもとプログラムを作り、それをある程度原則に則りながら強度の調整をすることが重要です。

パーソナルトレーナー同士のコミュニケーションはとても重要です。

得られるものとしては、

• 情報共有と学びの機会
• 問題解決と相談
• ビジネスチャンスの探索
• モチベーション向上

です。

1人だけで考えてもなかなか解決しないことだってあります。そんな時こそ横のつながりがあると相談できたり助け合ったりすることができます。世間的には競合相手になりますが横のつながりを作ることは必要でしょう。

フィットネス業界のイベントやセミナー情報を獲得する必要性は下記が挙げられます。 

1. 業界の最新情報をキャッチアップ。
2. 専門知識の向上と成長の機会。
3. 将来のビジネスの展望。
4. 顧客への付加価値の提供。
5. 新しい感性とモチベーションの向上。 

健康分野は日進月歩です。まだまだ人の体は未知のことが多くあります。今まで正しいとされていたことも間違っていたとされることもあります。新しい情報を得ることが自己を高めることと言えるでしょう。 

専門雑誌などはその時代のトレンドを明確に挙げていることが多くあります。自分の提供している商品がいまの時代にあっているかを確認するためにはいいツールです。また最近では動画サイトが流行しています。

その中でトレーニング動画をあげているパーソナルトレーナーや経営について語っている動画などもありますのでそれを活用し自己研鑽するのもいいでしょう。ただし、動画などは裏付けがない情報を発信している事が多々あります。そのまま間に受けてしまわずにしっかりと自分で調べて正しいかどうかを確認することが大切です。